生物多様性・食糧・水

2014年11月21日

 

生物多様性をめぐる認知や意識、取り組みレベルが低減

Keywords:  生態系・生物多様性  政府  政策・制度 

 

写真:トンボ
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日本国民を対象におこなわれた意識調査によると、生物多様性をめぐる認知や意識、取り組みレベルが低減しており、心配されています。内閣府が2014年9月に公表した「環境問題に関する世論調査」から、生物多様性に関する調査結果をご紹介します。

同調査は、環境問題に関する国民の意識を調査し、今後の施策に活かす目的として、2014年7月24日から8月3日まで、全国の20歳以上3,000人を対象におこなわれたもので、調査員による個別面接(聞き取り調査)で、1,834人から有効回答を得られ、回収率は61.1%でした。

そのなかで、「生物多様性」についての調査結果は以下のようになっています。

生物多様性の言葉の認識度について、「言葉の意味を知っている」と答えた人は16.7%で、2012年6月におこなわれた前回の回答(19.4%)より2.7ポイント減っており、「意味は知らないが、言葉は聞いたことがある」と答えた人は29.7%で、前回より6.6ポイント減っています。また、「聞いたこともない」と回答した人は52.4%にのぼり、前回に比べて11.0ポイント増えています。


内閣府 環境問題に関する世論調査より

生物多様性国家戦略の認識度について、「内容を知っている」と答えた人は4.0%で、前回に比べて2.1ポイント減少。「内容は知らないが、聞いたことがある」と答えた人は20.8%で、前回の28.3%に比べ7.5ポイント減りました。また、「聞いたこともない」と答えた人は73.8%で、前回と比べて11.6ポイント増えています。


内閣府 環境問題に関する世論調査より

愛知目標の認識度については、「内容を知っている」と答えた人は2.4%にとどまり、前回の調査より1.5ポイント減少。「内容は知らないが、聞いたことがある」と答えた人は9.1%で、前回より5.3ポイント減っています。「聞いたこともない」と回答した人は87.4%にのぼり、前回に比べ9.7ポイント増えています。


内閣府 環境問題に関する世論調査より

生物多様性の保全のための取り組みに対する意識についてたずねたところ、「人間の生活がある程度制約されても、多種多様な生物が生息できる環境の保全を優先する」と答えた人は33.8%で、前回より4.9ポイント減少。「人間の生活が制約されない程度に、多種多様な生物が生息できる環境の保全を進める」と答えた人は54.3%で、前回の52.8%を若干上回っています。また、「人間の生活の豊かさや便利さを確保するためには、多種多様な生物が生息できる環境が失われてもやむを得ない」と答えた人は4.7%で、前回より2.6ポイント増えています。


内閣府 環境問題に関する世論調査より

生物多様性に配慮した生活のための今後の取り組みについてたずねたところ、「節電や適切な冷暖房温度の設定など地球温暖化対策に取り組む」と答えた人は60.7%で、前回より11.2ポイント減っています。「旬のもの、地のものを選んで購入する」と答えた人は50.8%で6.9ポイント減、「生きものを最後まで責任を持って育てる」と答えた人は45.7%で8.6ポイント減、「環境に配慮した商品を優先的に購入する」と答えた人は36.9%で10.5ポイント減、「身近な生きものを観察したり、外に出て自然と積極的にふれあう」と答えた人は35.3%で2.1ポイント減となっています。


内閣府 環境問題に関する世論調査より

前回調査以降、生物多様性をめぐる大きな国際会議やイベントなどがあまりなかったことから、メディアでの露出が減ったことなどが原因という分析もありますが、認知や意識、取り組みレベルが全般的に下がっていることは懸念されます。

(枝廣淳子)

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