2009年11月13日
名古屋大学・生物機能開発利用研究センター、九州大学、農業生物資源研究所、理化学研究所・植物科学センターの研究グループは2009年8月20日、急激な洪水が発生しても水没し溺死することなく生存できる「浮イネ」の水没回避遺伝子を明らかにするとともに、その分子メカニズムを明らかにしたと発表した。
イネが水没すると「エチレン」というガス状の植物ホルモンが発生し蓄積する。空気中に比べて、水中でのエチレンの拡散は1万分の1と小さいため、イネの中でエチレンガスが物理的に閉じ込められるためである。浮イネはスノーケル1とスノーケル2というエチレンに反応する遺伝子を染色体の中に持っている。イネの体内にエチレンが蓄積するとこれらの遺伝子が働いてイネの伸長のスイッチが入り、伸長が始まる。これに対し、通常の栽培イネはこれらの遺伝子を持っていないために、水没しても伸長できない。
この研究の成果により、世界の洪水に苦しんでいる地域でイネの品種育成が進み、収量の高い浮イネ品種の作出が期待される。
佐賀県、温暖化に強い稲の新品種を開発(関連のJFS記事)
http://www.japanfs.org/ja/pages/024822.html
農業生物資源研究所
http://www.nias.affrc.go.jp/press/20090820/
登録日時:2009/11/13 06:00:15 AM