生物多様性・食糧・水

2006年07月26日

 

オゾン層、2020年頃から回復傾向へ

Keywords:  生態系・生物多様性  大学・研究機関  政府 

 

2006年5月19日、独立行政法人国立環境研究所は成層圏化学気候モデル(CCSR/NIES CCM)を用いたオゾンホールの回復予測について発表した。それによると、現在のオゾンホールの規模はほぼ最大の規模にあり、今後しばらくは大規模なオゾンホールの生成が続くと予想されるが、2020年頃にはオゾンホールの回復傾向が認められ、今世紀半ば頃には南極のオゾン層は1980年レベルに回復し、オゾンホールの解消が期待できることがわかった。

成層圏化学気候モデルは、国立環境研究所と東京大学気候システム研究センターが共同で開発してきた数値モデル。成層圏におけるオゾンの量や分布は、その生成・分解に関わる化学過程や大気の輸送に関わる物理過程、太陽光の吸収や赤外放射といった放射過程などの複雑なフィードバックの結果として生み出されているため、モデルにもフィードバック構造が取り入れられている。

今回の予測は、この気候モデルを用いて、フロンやハロンなどオゾン層破壊関連物質の今後予想される放出量や、二酸化炭素をはじめとする温室効果気体の今後予想される濃度変動も考慮に入れ、将来のオゾン層の変化についての数値実験を行ったもの。

この結果により、これまで国際的な協調のもとで進められて来たオゾン層保護対策は有効に働いていることはわかった。しかし、オゾン層は今後数十年に渡って脆弱な状況が続くことが予想され、計算に用いられた以上の量のフロンやハロンが使用・放出された場合にはオゾンホールの回復はさらに遅れることも予想される。



http://www.nies.go.jp/whatsnew/2006/20060519.pdf




登録日時: 2006/07/26 11:02:32 AM

英語記事はこちら


 


 

このページの先頭へ