震災からの復興

2016年07月23日

 

農産品 もうひとつの柱

Keywords:  震災復興  市民社会・地域  食糧 

 

写真:縁側カフェ
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東日本大震災の被災者支援プロジェクト「JKSK結結プロジェクト」が、東京新聞への連載を通じて被災地復興の様子を伝える「東北復興日記」。今回は、2016年1月19日に掲載された、福島の専業農家の取り組みをご紹介します。

原発事故で福島でのキノコ生産の柱が折れてしまい、何とか専業農家で生きていくためには違う柱を立てなければなりませんでした。コメは放射能測定の結果、「検出せず」でした。安心して加工できると考え、まずはコメの六次産業化(生産、加工、販売の一体化)に取り組みました。

いろいろな商品をつくりました。おかゆの缶詰、玄米茶、ポン菓子、玄米パン。そして「本みりん」もようやく完成したところです。棚田を開墾してくださった江戸時代のご先祖様の名前「三次郎」にあやかり、商品名としました。さらにインターネットで資金を募るクラウドファンディングを活用して、本みりんを使ったみりんスイーツの開発にも着手したところです。

もう一本の柱も見えてきました。それは「メープルサップ」、つまりイヤタカエデの樹液です。約三年前、福島県西会津町でオープンした「縁側カフェ」のメニューに「ホットケーキを出そう」「メープルシロップをかけたいね」ということになり、どこのものを使おうかと調べてみると、ほとんどがカナダ産でした。国産のメープルシロップはないのかなと探してみると、埼玉の秩父や山形の金山で作っていることが分かり、視察に行きました。

もしかしたら縁側カフェの一帯でもできるかもしれないと、棚田の奥にある山のてっぺんのイタヤカエデの大木でチャレンジしたところ、採取に成功! すぐ放射能測定を行い「検出せず」の結果を確認。ようやく昨年秋にメープルサップ(イタヤカエデ樹液)とメープルサイダーの商品を作ることができました。この取り組みは、新潟市主催の「6次化大賞」で日本食糧新聞社賞を受賞。商談会でも魅力ある商品として各方面から問い合わせをいただいています。

新しい柱が何とか立ちはじめました。まだまだ軌道には乗っていませんが、地域資源の活用に明るい未来が見え始めています。

キノコハウス代表取締役
佐藤昭子

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