震災からの復興

2015年04月05日

 

福島コットン 魅力アピール

Keywords:  震災復興 

 

写真:ガラ紡機
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東日本大震災の被災者支援プロジェクト「JKSK結結プロジェクト」が、東京新聞への連載を通じて被災地復興の様子を伝える「東北復興日記」。今回は、2014年5月23日に掲載された、農業再生の取り組みをご紹介します。

3年目の栽培が始まった「ふくしまオーガニックコットンプロジェクト」の綿畑には、今年も毎週末たくさんのボランティアが作業に訪れています。リピーターも多く、畑での再開を喜ぶ姿も見られます。今年は、いわき市、広野町を含めた計22カ所(約20ヘクタール)での栽培です。有機認証を受けた圃場を持つ農家が4人に増え、「オーガニックコットン」として有機認証を取得するための準備態勢も整いつつあります。

今年のJKSKボランティアバスツアーは年4回。6月1日の種まき、夏の草取り、秋の収穫と続きます。綿畑での作業に加え、綿の繊維への製造工程の一部を見学するほか、糸車での糸紡ぎ体験等も予定しています。

震災後の農業再生のために和綿の栽培を始めたこのプロジェクトは、小さくてもブレのない産業を作ろうと、原材料の栽培から加工、製品の販売まで全工程を地元で行うことを目指しています。私も、ボランティアとして畑作業に加わり、デザイナーとして製品づくりに関わっています。

昨年末に導入され、目下メンテナンス中のガラ紡機は、既に稼動している綿繰り機とカードで加工された原綿を糸にする工程を担います。電動式ですが木枠で組まれた昭和初期のレトロな器具で、現代の洋式紡績機では使えない短い落ち綿も無駄なく紡ぐことができ、繊維長が短い和綿の特性に合った日本生まれのものです。今年収穫される綿の一部はこのガラ紡機で糸になり、織りなどの工程をへて製品化される計画です。

先日の日本橋三越での期間限定販売では、連日たくさんの方にTシャツなど手にとっていただき売り上げも好調でした。その売り場には、「被災地支援」の文字はなく、堂々と「FUKUSHIMA COTTON」の看板が掲げられました。原発事故の収束しない福島での取り組みの道のりはまだ長く厳しい一方、プロジェクトは製品自体の魅力が問われる次のステージに移っていることを感じました。

ヨウデザイン代表 伊藤陽子

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