震災からの復興

2015年05月10日

 

マンモス防潮堤 話し合う

Keywords:  震災復興 

 

写真:フォーラム「あなたはどう思う?マンモス防潮堤」
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東日本大震災の被災者支援プロジェクト「JKSK結結プロジェクト」が、東京新聞への連載を通じて被災地復興の様子を伝える「東北復興日記」。今回は、2014年6月6日に掲載された、合意形成に関する取り組みをご紹介します。

震災後に十分な議論の時間を持つことができないまま計画が決まった防潮堤建設。三陸海岸に高さ最大15メートル、総延長400キロメートル、総事業費1兆円をかけて建設するというもの。この計画を再度検証するため、5月24日、仙台で首相夫人の安倍昭恵さんが発起人代表となり、「あなたはどう思う?マンモス防潮堤」というフォーラムが開催され、主に宮城県内から約400人の参加がありました。

いわゆる反対集会ではなく、さまざまな論点から必要性や問題点を出し合い、相互に理解を深めながら、丁寧に合意形成をしていく必要性を確認し合いました。

第1部では、安倍晋三首相や村井嘉浩宮城県知事、増田寛也元岩手県知事の動画が流れたほか、建築家や地元の若者による代替案発表、国会議員による法律・制度面の指摘が行われ、特に増田元知事の「人が住まなくなる地域に建設される防潮堤はいったい何を守るのか?」という意見は重要な論点でした。

第2部では、反対運動があった徳島県・吉野川の河口堰建設での住民投票や、広島県福山市の鞆の浦での埋め立て架橋事業の差し止め訴訟の例などを共有し、公共工事の合意形成に関する見識を広げました。

第3部では、宮城県気仙沼市小泉地区に約220億円を投じ、住民が高台移転するにもかかわらず建設される防潮堤をテーマに、第三者の進行で国や県、市議会議員、住民、学識者による円卓会議を実施し、議論を深めました。

最後にアンケートシステムを活用し、「合意形成は足りていますか?」という問いに約84%が「もっと話し合ったほうが良い」。「合意形成のあるべき姿は?」という問いに約85%が「第三者を交え皆が納得するまで対話」と回答しました。時間はかかってしまうかもしれませんが、50年後、100年後の社会を見据え、あせらずじっくり対話を重ね、相互理解をしていくことが、最も重要なことであると考えます。

ファシリテーター 加生健太朗

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