2013年11月14日
宮城県名取市に2013年9月29日、震災からの復興をめざした商業施設「ロクファームアタラタ」がオープンした。そばレストラン、ビュッフェ、パン工房など、東北の食材を生かした飲食店に加え、地域住民に開かれたコミュニティスペースも備える。
主なコンセプトは、雇用の創出、第一次産業の支援、防災意識の啓発。例えば食材の調達先は、被災からの事業立て直しを図る石巻市の牡蠣漁師など、東北地方の第一次産業の支援を念頭に置いて選定。約70名の従業員の半数以上は障害を持つ人が占め、震災で生活の糧を失った人々の雇用創出に一役買っている。
運営に当たるのは、一般社団法人東北復興プロジェクトと株式会社東北6次産業創出支援センターのメンバーの6名。その一人、渡部哲也さんは障害者雇用の分野で豊富な経験を持ち、アタラタでの障害者雇用も牽引する。食材の備蓄がある商業施設のメリットを生かし、「万一のときにも『あそこに行けば大丈夫』と、避難所としての機能を果たしたい」と、防災への意識を忘れずに復興への力にしたいと願っている。
創業費用は約6億6000万円。行政の補助金を受けない民間発の大型復興関連事業としても注目される。
小島和子