生物多様性・食糧・水

2013年09月22日

 

村の豊かな自然を守る「安曇野松川村すずむし保護条例」

Keywords:  生態系・生物多様性  地方自治体  政策・制度 

 


北アルプスのふもと、信州の安曇野に位置する長野県北安曇郡松川村には、2010年9月に制定された、世界でもめずらしい「安曇野松川村すずむし保護条例」がある。

スズムシは体長20ミリメートル前後の日本産コオロギ科の夜行性昆虫。夏から秋の初めにかけて、夜に「リーン・リーン」と美しく鳴く。日本では平安時代(794年~1185年)に貴族が籠に入れて楽しんでいた記録があるほど、古くから鳴き声を楽しんでいる。

松川村のスズムシは、長野県版レッドリストで絶滅のおそれのある地域個体群と報告されている。この保護条例は、昔から村に生息するスズムシを貴重な地域資源と考え、スズムシの保護を通して村の豊かな自然環境と田園景観を保全することを目的としている。

全国に誇る「すずむしの里」づくりをめざし、土地改良事業等を実施する場合は、生息環境に配慮した工法に努めることは村の責務とし、村民はすずむしと共生する村の自然環境に誇りを持ち、村が実施する保護に関する施策に協力するよう求められている。加えて村長が必要と認めた場合をのぞき、保護地区においてすずむしの捕獲も禁止しているなど、村全体でスズムシを守る体制が整えられている。

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