生物多様性・食糧・水

2011年12月02日

 

海洋研究開発機構、北極海の巨大暖水渦について研究成果発表

Keywords:  生態系・生物多様性  大学・研究機関 

 

海洋研究開発機構は2011年8月26日、海洋地球研究船「みらい」で2010年9~10月に実施した北極航海において、直径100kmを超える巨大な暖水渦を発見し、その詳細な観測を世界で初めて行い、研究成果を発表した。同日付で米国地球物理学連合発行の学術誌Geophysical Research Lettersに掲載された。

「みらい」により海氷が融解した太平洋側北極海で海洋や気象の観測を実施していたが、アラスカ沖のカナダ海盆に高水温域が存在し、それが直径100kmを超え中心部の水温が最高で+7℃に達する巨大な暖水渦であることが判明した。また、海水のアンモニア濃度が高かった。アンモニアは夏季に陸棚域で生成されることから、渦の水は同海盆に隣接したチャクチ海陸棚域が起源と考えられた。

渦の上層(有光層)では、特にアンモニアを栄養分とする小型の植物プランクトン(鞭毛藻など)が増加していることが分かった。近年、海氷融解に伴って、栄養分の低い淡水がカナダ海盆表層の有光層の栄養分を低下させ、大型植物プランクトンが見られなくなっていたが、暖水渦が栄養分を運ぶことで生態系に影響を及ぼしている実態を明らかにした。


北極海の氷、観測史上最小値を更新(関連のJFS記事)
http://www.japanfs.org/ja/pages/024683.html
太平洋底層の水温が上昇 南極周辺での底層水の形成が減っている?(関連のJFS記事)
http://www.japanfs.org/ja/pages/024407.html

登録日時:2011/12/02 06:00:15 AM


English  

 

参照元

海洋研究開発機構 2010年「みらい」北極航海で観測された巨大暖水渦と生態系へのインパクト
http://www.jamstec.go.jp/j/about/press_release/20110826/


 

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