2011年04月27日
国立環境研究所は2011年1月21日、近年の海水温上昇に対応して日本の温帯域でサンゴ分布が北へと拡大している証拠を示し、その拡大速度が14km/年に達していることを発表した。科学的にサンゴ北上を全国規模で検出したことは世界初。
日本はサンゴの分布北限域に位置しているため、分布の変化を解明することで、温暖化の影響を評価できる。同研究所は、鹿児島県トカラから千葉県館山に至る10の海域で80年間にわたる9種のサンゴ出現のデータベースを整備し、サンゴ分布の北への拡大を検出した。同海域の冬季水温は過去100年間で1.1~1.6℃上昇した。
この9種のうち、分布を南に移動あるいは縮小した種はなく、4種が北へ分布拡大していた。分布拡大速度は2~14km/年であったが、最大速度は熱帯を代表する種が示したものであり、今までに報告されている他の生物分布の北上あるいは拡大速度よりはるかに大きい。
サンゴは、光合成による一次生産を担うとともに、他の生物の生息場所を提供する生態系の基盤となる生物であるため、海水温上昇によって温帯域の生態系の変化が急速に進んでいる可能性をこの研究結果が示唆している。
日本のサンゴ礁の危機続く 白化・オニヒトデ被害拡大(関連のJFS記事)
http://www.japanfs.org/ja/pages/023521.html
登録日時:2011/04/27 06:00:15 AM
海水温上昇にともなうサンゴ分布の北への急速な拡大について
http://www.nies.go.jp/whatsnew/2011/20110121/20110121.html