生物多様性・食糧・水

2017年03月27日

 

自然保護区、設置の分布を誤ると絶滅への悪循環が

Keywords:  生態系・生物多様性 

 

写真:オキナグサ
イメージ画像:Photo by Qwert1234 Some Rights Reserved.

東京農工大学は2016年11月7日、自然保護区に関する研究結果を発表した。国立公園などの自然保護区が、植物の局所絶滅を抑制する効果があることを実証。一方で、植物の分布を考慮せずに保護区の新設を繰り返すと、分布の狭い種の絶滅リスクが上がることを確認した。

研究チームには、東京農工大学に加え、国立環境研究所、日本自然保護協会、クイーンズランド大学からメンバーが参加。1,572種の植物について、レッドブック編集のために実施された調査のデータを分析した。分布の狭い植物は、分布の広い植物と比較して、分布域が保護区と重なっている割合が低いことを確認。分布域がすべて保護区外となっている植物も少なくはなく、250種を上回る。

保護区内外で局所絶滅確率も調査し、保護区内での局所絶滅は、保護区外の3分の2以下に抑えられていることがわかった。分布の狭い植物は保護区外に分布している割合が高いため、より局所絶滅し易く、絶滅で更に分布が狭くなるという「絶滅への悪循環」が起こりうる。

シミュレーション解析の結果、植物の分布実態を考慮せずに保護区の新設を繰り返すと、「絶滅への悪循環」に陥ることが確認された。研究チームは、絶滅を防ぐためには、保全すべき植物の分布を考慮した、計画的な保護区設定が不可欠としている。

English  

 

 

このページの先頭へ