震災からの復興

2016年06月27日

 

被災地に春を呼ぶ「Present Tree in ひろの」

Keywords:  震災復興  生態系・生物多様性  防災・減災 

 


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東日本大震災から5年が経過しようとしている2016年3月6日、被災地である福島県双葉郡広野町で、「Present Tree in ひろの」第1回森の交流会が開催されました。町民と都市部企業や市民との交流の機会を創出することにより、町に賑わいをとり戻そうとする取り組みについてお伝えします。

第1回森の交流会には、広野町民、近郊協力団体等の人々に、東京からのバスツアー利用者を加えた約130名が参加。ひろの防災緑地の一画に、福島県地域在来広葉樹(スダジイ、アカガシ、クヌギ、コナラ、エノキ)の苗木約2,000本を植えました。

防災緑地は、盛土で嵩上げされています。土が粘土質なので、苗木が丈夫に育つよう、掘った穴の中に肥料を混ぜなくてはいけません。穴を掘るのはもちろんのこと、肥料を混ぜる作業もかなりの重労働。東京からのバスツアー利用者や広野町民など、参加者が一体となって助け合いながら、一心不乱に作業に没頭しました。

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植樹終了後、広野町の遠藤町長から復興にかける意気込みが伝えられ、参加者は同じ想いを共有しながら昼食へ。地元の食材で作られた料理を味わいました。加えて、広野町産のコシヒカリでつくった純米酒を試飲。「広野町の地酒をつくる会」が、より多くの来町者に広野町の歴史・文化、農産物の良さを知ってもらおうと生産・販売を行っているもので、2016年2月に初出荷されたものです。

午後になると、東京からのバスツアーの一行は被災地スタディツアーに出発。「富岡町3.11を語る会」語り人の田中美奈子さんのガイドで、富岡町を訪ねました。富岡町は放射線量が高いため、全町民避難を余儀なくされました。田中さんは、震災発生までは富岡町で暮らしていましたが、今はいわき市に住んでいます。

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田中さんによると、被災地の復興に関しては、インフラやハコモノの整備は徐々に進んでいるけれども、人の心のケアがまだまだ出来ていないと感じているとのことです。避難先での生活が長引いていますが、避難先に知り合いがなく、生活に馴染めない人も多いようです。

一方で、避難区域が解除されても、避難先の学校生活にとけこんだ子どもや若い世代は、自宅に戻るケースは非常に少なく、戻るのはほとんどが年配者のようです。自分は戻っても、周囲の顔見知りが戻っていないと、話し相手がおらず、近所づきあいを大切にしてきた人にとっては、とても辛い状況です。

「Present Tree in ひろの」では、広野町のさらなる復興と新しい双葉地域の創造を目指しています。様々な企画を実施することで、植樹した苗木の里親である都市部市民が被災地の現状を理解するとともに、継続して町民と交流できる機会を創出し、町に賑わいをとり戻す取り組みを続けていきます。

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