教育

2015年04月24日

 

「子どもにやさしいまちづくり」、奈良市が条例を制定

Keywords:  教育  幸せ 

 

写真:小学生通学の様子
イメージ画像: Photo by Doctor Autumnal Sky Some Rights Reserved.

2014年12月18日、奈良市では「子どもにやさしいまちづくり条例」が成立しました。「子どもにやさしいまち」(Child Friendly Cities=CFC)は、1996年にユニセフが提唱した概念です。古都平城京がおかれ、数々の文化財が世界遺産にも登録されている奈良市は、子どもにとってどのようなまちを目指し、取り組みを進めて来たのでしょうか。

今回制定された条例は「奈良市の子どもたちが今を幸せに生きることができ、将来に夢と希望をもって成長していけるようにし、及び子ども参加によって大人とともにまちづくりを進めること」を目的に掲げています。基本となる理念は日本国憲法と、国際連合が1989年に定めた児童の権利に関する条約です。

奈良市は2012年に条例の検討委員会を設置し、17回にわたり協議を重ねてきました。併せて「子どもワークショップ」も2012年度に6回、2013年度に5回開催しています。ワークショップでは、公募などで募集した市内在住の10~17歳の子どもたちが、サポーター役の大学生や検討委員と共に、条例がより充実したものとなるよう、ディスカッションなどが行われました。

子どもたちからは「これからも色々な立場の子どもの意見を聴いてほしい」、「安全に学校に行けるよう通学路を広くしてほしい」、「子どもから出された意見が事実かどうか、見分けるための仕組みを条例の中で設けてほしい」といった意見が積極的に出され、今回制定された条例に反映されています。

具体的には、意見表明と参加の場として「奈良市子ども会議」が設置されます。この会議は、子どもたちの自主的・自発的な取り組みによって運営されるもので、市長に意見を提出することができます(第12条)。

また、大人たち(市・保護者・地域住民・教育施設などの関係者)は、犯罪、交通事故、災害などの被害を子どもが受けないよう、安全な環境づくりに努めるよう定められています(第16条)。そして、安全なだけではなく、自然との触れ合いや様々な遊び、子ども同士の交流を通して豊かな自己を育むことができる場所づくりにも努めることが大人たちに求められています(第17条)。

事業者の役割も規定されており、「労働者が仕事と子育てを両立できるような必要な職場環境を整備すること」が盛り込まれています(第10条)。この他にも、障がいのある子どもやひとり親家庭の支援、虐待・いじめの対策なども全21条に含まれています。

奈良市は、「子どもにやさしいまちづくり」の推進は、子どもだけではなく、市内に住む人や市を訪れるすべての人たちにとっても、やさしいまちづくりにつながるという理念を取り組みの基礎としています。この条例は、2016年4月1日から施行されます。

日本では、2000年に川崎市が子どもの権利に関する条例を初めて制定しました。今回の奈良市に続き、他の自治体でもこの動きが拡がっていくことが期待されます。

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