エネルギー・地球温暖化

2013年08月01日

 

固定価格買取制度の開始から1年 求められる電力系統の整備

Keywords:  再生可能エネルギー  政府  政策・制度 

 

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固定価格買取制度における設備認定の状況(累積)と運転開始状況(2013年2月末現在)
資源エネルギー庁データをもとにISEP作成


本格的な自然エネルギーの固定価格買取制度開始から2013年7月で1年が経過した。2013年2月末までに設備認定された発電設備の容量は1,300万kW。過去20年間に国内で導入された自然エネルギーの設備容量に匹敵するが、実際に運転開始しているのはその1割程度にとどまっている。

現在の課題は電力系統の整備。例えば北海道電力では、2013年3月末時点で大規模太陽光発電(出力2,000kW以上)の受付が157万kWに達したが、電力系統の全体容量が600万kW程度と比較的小さいこともあり、接続量には限界あるとして、40万kWの容量制限が提示されている。このままでは、自然エネルギーの本格的な導入にブレーキがかかる懸念が大きいため、新たな対応を迫られている。

太陽光発電などの分散型自然エネルギーによる電気は、発電所ごとに送電量が大きく変動したり、逆方向の電気の流れ(逆潮流)を発生させるため、電力会社は電力系統の仕組みを変える必要がある。固定価格買取制度では、自然エネルギーを電力系統に優先的に接続するように定めているが、実際には電力会社の事情で接続を拒否できる。

こうした状況を改善するため、2013年5月、配電用変電所での逆潮流を認めるよう制度が変更された。北海道や東北地方のように、風況に恵まれていながら電力系統が未整備の地域に送電網を整備する仕組みづくりも始まっている。

環境エネルギー政策研究所 (ISEP)
松原弘直

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