政策・制度・技術

2003年10月30日

 

王子製紙 酸性土でも育つユーカリを開発

Keywords:  環境技術  企業(製造業)  大学・研究機関  生態系・生物多様性 

 

王子製紙は、独自に開発したユーカリ形質転換技術(遺伝子組換え技術)を活用し、酸性土でも育つユーカリを開発した。ユーカリは非常に成長が早く、紙の原料木に適しているため、同社の海外植林の主要樹種となっている。

本研究は王子製紙森林資源研究所が岐阜大と共同で行ない、その成果は2003年7月25日からハワイで開かれた米植物生理学会で発表された。

地球の人口が急増し、食糧の生産が最優先される中、耕作等に利用されていない貧弱な土地への植林の需要が高まっている。また、植生がない土地への植林は、炭素固定にも大きく貢献できる。1993年以降植林プロジェクトを推進してきた同社は、これまでも乾燥害や塩害などの環境ストレスに耐性を持つユーカリの開発に取り組んできたが、樹木の成長が早い熱帯地域には、植物が育ちにくい酸性土壌が多くあるため、今回は酸性土壌が研究対象として取り上げた。

周囲の生態系に影響がないことを実証するまで、研究は隔離して行なう必要があるため、実用化に向けての研究は、米国の巨大ドーム状の実験施設(バイオスフィア)で行なう。閉鎖系温室内で、安全性や、パルプ原料としての適格性を確認し、基準を満たせば開放系の試験場で評価をする計画。全ての安全性が確認され、屋外での植林を開始するまで、10年を目途として計画を進める予定。






登録日時: 2003/10/30 08:51:54 PM

英語記事はこちら


 


 

このページの先頭へ