市民社会の動き

2016年05月23日

 

折り鶴に託された平和への願いをつなぐ

Keywords:  市民社会・地域 

 

写真:折り鶴
Copyright 広島市 All Rights Reserved.

広島への原爆投下から70年余り。平和記念公園にある「原爆の子の像」には、平和への思いと祈り、夢や願いが託された折り鶴が、今も世界各国から届けられています。この折り鶴を別の形に昇華させることで、思いをつなぎ、広げていこうという取り組みが進められています。

「原爆の子の像」のモデルとなっている佐々木禎子さんは、2歳の時に被爆しましたが外傷もなく、その後元気に成長していました。しかし9年後、突然病のきざしが現れ、白血病と診断。折り鶴を千羽折ると病気が治ると聞いた禎子さんは、回復を願って包み紙などで鶴を折り続けましたが、8か月の闘病生活の末に亡くなってしまいました。

このことをきっかけに、原爆で亡くなった子どもたちの霊を慰め、平和を築くための像をつくろうという運動が始まり、全国からの募金で平和記念公園内に作られたのが「原爆の子の像」です。

この話は「サダコと折り鶴」の物語として、絵本やアニメの題材となって世界中に広がりました。今日では、折り鶴は核兵器廃絶と世界恒久平和を願う世界中の人々の象徴となり、毎年1千万羽以上、重さにして10トン以上の折り鶴が、「原爆の子の像」に届けられています。

写真:原爆の子の像 写真:平和記念公園
Copyright 広島市 All Rights Reserved.

広島市では、折り鶴に託された平和への願いを大切にし、応えるためには、より多くの人と思いを共有することが重要だと考え、折り鶴に託された思いを昇華させる取り組みを始めました。市民活動として根付くよう、市民が主体的に取り組みの内容を提案し、市がサポートする形で進められています。

NGO〈折鶴の平和リレー〉ピースワンでは、折り鶴7羽にメッセージを添え、袋詰めのセットを作成しています。メッセージには「一羽一羽に込められた人々の平和への熱い"思い"をこの7羽の『折鶴』たちと共にあなたに託します。あなたの家族、友人、そして地域の人たち、1人ひとりに"そのこと"を伝えながら一羽ずつ手渡して下さい」と書かれています。

折り鶴とメッセージのセットは、広島平和記念資料館来館者などに無料で配布。受け取った人が身近な人に"込められた思い"を伝えながら1羽ずつ手渡し、繋げていくことで、折り鶴たちはリレーされて「平和の使者」となり、世界中にその思いも循環していきます。

広島市に本社を置き、販促・広告・広報サービスを企画・提供するユニバーサルポストは、折り鶴を再生して紙粘土にする取り組みを行っています。「つる姫」と名づけられた紙粘土は、原料の一部であるパルプ繊維の100%に、折り鶴からの再生パルプを使用。手を動かし、作る楽しみがあふれる工作材料として、幼児から高齢者まで幅広い層に広がっています。

写真:つる姫

他に100以上の個人、団体が昇華の取り組みを実施。取り組みの主体者は、市内はもとより、広島県内外、更には国外にも広がっています。

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