生物多様性・食糧・水

2014年06月28日

 

東北大学 イネ冷害の発生メカニズムを解明

Keywords:  食糧  大学・研究機関 

 

写真:冷害イネ
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東北大学大学院生命科学研究科の東谷篤志教授(ゲノム継承システム分野)らの研究グループは2014年2月27日、古川農業試験場、名古屋大学、理化学研究所、農研機構の協力のもと、イネ冷害の発生メカニズムを解明し、冷温下でも収穫量の減少を緩和させることに成功したと発表した。

冷害の主な要因は、20℃程度の冷温になると花粉が正常に形成できなくなり、その後に出穂しても受粉できず種子ができなくなることにある。研究グループは花粉を作る器官である葯における全ゲノム遺伝子の発現変動を解析した。

その結果、植物ホルモンの一つであるジベレリンの生合成遺伝子の葯での発現が冷温により抑えられることを確認した。ジベレリンは、植物の伸長成長のほか、細胞の分裂や増殖組織や器官の発生・分化にも必要な植物ホルモンである。最終的にジベレリン含有量が低下することで、花粉始原細胞の増殖や葯壁細胞の発生プログラムに悪影響を及ぼし冷害が生じたと考えられる。

そこで、イネの花粉が形成される時期ピンポイントに、ジベレリンを外から投与し、さらに糖も加えたところ、冷温下でも花粉をつくる能力が維持され、受粉が回復し収量の低下を有意に抑えることに成功した。

研究成果は、米国植物生理学誌(Plant Physiology)の2014年2月25日付オンライン版で公開された。

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