政策・制度・技術

2018年07月06日

 

環境省の「ナッジ」事業、家庭・業務・運輸部門の低炭素化に行動科学を活用

Keywords:  政策・制度  地球温暖化 

 

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イメージ画像:Photo by カメラ兄さん.

環境省は2017年度から、家庭・業務・運輸部門のCO2排出削減を目的に、行動科学を活用した新たな政策手法「ナッジ」の効果を検証している。ナッジ(nudge)は、対象者の行動を「そっと後押しする」という意味を持つ。例えば、電気料金の請求書に近隣家庭との比較データを掲載することで消費者の自発的な節電を促す、といったアプローチである。

2017年4月には、同省の主導で産学官連携のナッジ・ユニット「BEST」(Behavioral Sciences Team)が発足し、本手法の早期社会実装を目指している。関係省庁、地方公共団体、有識者の他に、同省の推進事業に応募して採択を受けた民間企業も構成メンバーとなっている。

2017年度の事業では4事業者(コンソーシアム)が採択された。一例として、IT企業の日本オラクルは、住環境計画研究所と共同で「生活者・事業者・地域社会の『三方良し』を実現する日本版ナッジモデルの構築」という課題に取り組んでいる。

初年度にあたる2017年度は、北海道ガス、関西電力等エネルギー事業者5社と協力し、約30万世帯にカスタマイズした「ホームエネルギーレポート」を4回配信、CO2削減の効果や意識・動機の変化を測定する。事業期間は2021年度までを予定しており、日本の実情に応じたナッジモデルを確立する計画である。

行動科学の応用は、費用対効果と対象者の自由度が高い手法として注目されており、環境省では本事業を通して、日本の低炭素化に対する持続的・中長期的な適用可能性を検証していく。

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