幸せ・レジリエンス

2016年10月06日

 

こころにかかる雲 取り払う

Keywords:  レジリエンス  震災復興 

 

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東日本大震災の被災者支援プロジェクト「JKSK結結プロジェクト」が、東京新聞への連載を通じて被災地復興の様子を伝える「東北復興日記」。今回は、2016年3月8日に掲載された、メンタルケアに関する取り組みをご紹介します。

「復興はこっち(頭を指して)より、ここ(胸をさして)のほうが先」と話してくれたのは、宮城県登米市の仮設住宅で出会った南三陸出身の83歳の男性。60年経営した工務店が目の前で流されたという話もしてくれました。

震災の復興といえば、建設や道路の整備、経済の復活などがまず優先されます。もちろん、それらがどれだけ大切なのかは言うまでもありません。しかし、同じぐらい大切なのが心の復興です。冒頭の男性の言葉のように、トラウマ(心的外傷)やストレス、怒り、不安を抱えたまま頑張り続けることは難しいものです。

また、愛する人を失った悲しみや喪失感は、時間がたっても消えるものでもなく、トラウマがうつやアルコール依存症、暴力といった形で出ることもよくあります。せっかく震災で生き残った人々を自殺や依存症、病気という形で私たちはまた失ってしまいます。

ハートレジリエンス協会では、2013年から2015年12月までに、東北14カ所でストレス・トラウマ解消の講座、個人セッションを開いてきました。被災地や紛争地などで国際的に使われているEFT(感情解放のテクニック)というセラピーを用い、参加者の方から「胸にすみ着いたようなドキドキ感がなくなった」「震災以来はじめて一度も起きずに寝ることができた」「自殺願望がなくなった」「灰色の雲がかかっていた視野が明るくなった」など多くの声をいただきました。

震災から5年がたち、被災者のメンタルケアはもう要らないと考える人もいるかもしれません。しかし、復興地ではすべてがまだ進行形であり、過去が過去のことにならない現状や新たなストレスもたくさんあります。気仙沼では多くの人が亡くなった繁華街が今も更地のままです。そんな風景は復興地のあちこちにあり、それらを毎日見る人々の心がある限り、心の復興活動もまだまだ続きます。

一般社団法人ハートレジリエンス協会
理事長 溝口あゆか

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