2015年01月28日
Keywords: CSR
日本企業のCSR活動を取り巻く環境が、大きく変わりつつあります。企業に対して長期的価値創造能力や持続的発展についての情報開示を求める、社会的期待の高まりを受け、具体的な動きが起きています。日本の現状について、サステナビリティ日本フォーラム代表理事・後藤敏彦氏に纏めていただきましたので、ご紹介します。
いま、日本企業のCSR取組について革命的な大激震が起きつつあります。震源は、企業に対する社会の期待の大変化で、長期的価値創造能力や持続的発展についての企業の意思表明即ち開示を要請するものです。
社会からは、この1~2年で様々な動きがありましたが、いくつかを以下に紹介します。
国連が2006年にPRI(Principles for Responsible Investment)を公表して以来、欧州ではESG投資が全体の半分を占めるようになり、米国でも30%に近づいてきているといわれていますが、日本はSRIを含めESG投資は1%にも達していません。
しかしながら、金融庁のスチュワードシップ・コードの影響は大きく、2014年11月末現在で175もの機関投資家が署名しています。
とはいえ、日本の機関投資家や金融業界のESGリテラシーはあまり高くなく、投資先との建設的なESG対話が望めず、鋭意勉強中といってよいのが現状でした。
ところが、130兆円超の資金を運用するGPIF(Government Pension Investment Fund)が株式運用割合を増やすということで、加入者への説明責任を果たすためにもESG投資の検討を始めだしたと伝えられ、がぜん、金融業界全体で拍車がかかり始めたようです。
他方で、投資を受ける事業者側では、金融業界以上に長期的価値創造についての統合思考等に関心が高く、2013年の半ば頃から先進的企業が自社のマテリアリティ課題確定について多くの企業が検討を開始しています。筆者も企業のダイアログ等に参加を求められる機会が増えてきています。
また、マテリアリティ、KPI、統合思考、ESG投資といったキーワードの入ったシンポジウムやセミナーはあっという間に満席になる現象も起きています。
日本企業の企業変革(Innovation)につながることが期待されています。
サステナビリティ日本フォーラム代表理事
後藤敏彦