企業・CSR

2014年08月27日

 

日本企業のCSR活動の現状

Keywords:  CSR  企業(製造業)  企業(非製造業) 

 

写真:名刺交換
イメージ画像:Photo by ヤッホー

東京財団が立ち上げたCSR研究プロジェクトでは、全国の約2000社(一部上場企業、主要非上場企業、主要外資系企業)に対して、日本社会や国際社会が抱える課題とCSRの関係性に焦点を当てたアンケート調査を実施しました。今回、東京財団の許可を得て、調査この結果から見える日本企業のCSR活動の現実と課題について、報告の一部をお伝えします。

企業がどのような社会課題に取り組んでいるのかを聞いた、取組み状況の結果が図1です。

グラフ:社会課題別に見たCSRの取組み状況
図1:社会課題別に見たCSRの取組み状況
出所:CSR企業調査(n=218)より東京財団作成
Copyright 東京財団 All Rights Reserved.

まず大半の企業が取り組んでいるのが、「環境保護」です。その中身は環境汚染の防止、生物多様性の保護、気候変動対応です。日本企業の環境対応は進んでいると言われているが、この調査でもその傾向は確認されたといえるでしょう。

次に7割程度の企業が取り組んでいるのが「風土・文化保全」「出産育児支援・妊産婦の健康改善」「人権保護」「女性の地位向上」の4分野でした。「風土・文化保全」の中身は地元地域等へのイベント支援が多く、「出産育児支援・妊産婦の健康改善」は休暇制度の充実や検診制度の導入等、また、「人権保護」は人権に関する研修会の開催等、「女性の地位向上」は女性の管理職登用等が挙げられています。

まだまだ取組みが進まないのは「疾病等」「児童貧困」「貧困」です。例えば、疾病等について見てみると、日本の年代別死因は、全体では悪性新生物(いわゆるガン)、心疾患、脳血管疾患が上位にあり、年代別に見ると若年層では「不慮の事故」、50代までには「自殺」も上位にあります。各種の疾病の予防や根絶等も含め、これらの死亡リスクをいかに低減していくかは社会課題のひとつと考えられます。しかし、全体的には、こうした分野への企業の取組みは低い水準にとどまるのが現状です。

また、児童貧困および貧困については、諸外国と比べても日本の貧困率は相対的に高く、上昇傾向にもあるため、これも社会課題として認識すべきなのでしょうが、企業の取組みはまだまだです。

写真:ground earth view
イメージ画像:Photo by Panos Photographia Some Rights Reserved.

海外における「社会課題」に対する取組みでは、「環境保護」が飛びぬけている以外、他の社会課題はどれもまだ低調であることがわかります。日本企業のグローバル化が進む中、それぞれの拠点の「人権」がどう扱われ、「女性」の活躍がどういう状況にあるのか、その課題にきちんと取組み、説明できる企業は決して多くはありません。今回のアンケート回答企業の大半は東証一部上場企業であり、また、CSR担当部署を持つ、いわばCSR先進企業が多いのですが、それでも、海外の課題については厳しい現状が明らかとなりました。

JFSでは今後も日本のCSRの動向などについてお伝えしていきます。

東京財団ウェブサイト:会社は社会を変えられる―統合を目指すCSR(1) 社会課題の解決と企業経営の「統合」 より

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