ニュースレター

2002年12月01日

 

温暖化と日本

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JFS ニュースレター No.3 (2002年11月号)

私たちが直面している地球環境問題のなかでも、もっとも切迫した問題のひとつが「温暖化」問題です。たとえば、いくら保護区や条例を設定して希少動植物を守ろうとしたとしても、温暖化がもたらす異常な気候や天候、温度上昇による生態系の変化が進行してしまえば、その種を守ることも難しくなります。温暖化は、地球システム全体に否応なく、影響を及ぼすのです。

日本では近年異常に暑い夏が続いています。各地から「これまで南方にしかなかった種が自生するようになってきた」「シロアリが北上している」等の報告が出ています。また、1997年に気候変動枠組み条約の第3回締約国会議が日本の京都で開催されて京都議定書が成立したこともあり、日本人の多くが「温暖化問題」を認識しています。

2000年のデータによると、日本は13億3200万トンの温室効果ガス(二酸化炭素換算)を排出しています。内訳は、二酸化炭素が93.7%、メタン1.7%、一酸化窒素2.8%となっており、世界全体の内訳(二酸化炭素が60%、メタン20%、一酸化窒素6%、フロン・ハロン14%)と比べると、二酸化炭素の比率が非常に高いことが特徴です。

世界全体のデータ(98年)で見ると、日本の二酸化炭素排出量は、世界全体(約229億トン:二酸化炭素換算)の5%を占め、世界で4番目の排出国となっています。(アメリカ23.8%、中国13.8%、ロシア6.3%に次ぐ)

なお国民一人当たりの二酸化炭素排出量は、アメリカ、オーストラリア、カナダ、ドイツ、ロシア、イギリスに次いで、世界第7位となっています。

日本の2000年の二酸化炭素排出量12億3710万トンは、1990年の11億1930万トンより著しく増加しており、一人当たりの排出量も、同時期に9.06トンから9.75トンへと増加しています。

日本の二酸化炭素排出量の部門別内訳を見ると(99年)、
・エネルギー転換部門(発電所など) 7.0%
・産業部門             40.3%
・民生部門(家庭)         13.0%
・民生部門(業務) 12.2%
・運輸部門  21.2%
・工業プロセス  4.3%
・廃棄物  1.9%
となっています。

90年に比べると、産業部門の増加率は0.8%ですが、運輸部門が23%と最大の増加率を示しています。また、OA機器の増加などによる民生部門(業務)が20.1%の増加、世帯数の増加や家電製品の保有率増加によって民生部門(家庭)は15%増加しています。

日本は5月に京都議定書を批准しました。記事はこちら→
http://www.japanfs.org/db/48-j

日本政府は、1997年10月に内閣総理大臣を本部長とする地球温暖化対策推進本部を設置し、98年6月に地球温暖化対策大綱を決定。2002年3月に新たな大綱が決定され、それに基づいて、さまざまな施策の体系ができています。http://www.env.go.jp/earth/ondanka/taiko/index.html

その他、JFSのインフォーメーションセンターには、以下のような情報も掲載されています。

京都メカニズム活用連絡会を設置へ
http://www.japanfs.org/db/76-j

「共同実施」と「クリーン開発メカニズム」の事業承認の申請受付を開始
http://www.japanfs.org/db/156-j

環境省、温室効果ガス削減助成へ
http://www.japanfs.org/db/126-j

環境省、「家庭でできる10の温暖化対策」を作成
http://www.japanfs.org/db/28-j

環境税の導入も、政府での議論が始まりました。法規制や税改革を含む制度の変革など、さまざまな動きが出てくると思われます。今後も最新情報のいくつかをJFSのウェブで入手してください。

また、より積極的に取り組んでいる地方自治体も増えています。たとえば、

東京都、大規模事業所での二酸化炭素排出量削減の義務化へ
http://www.japanfs.org/db/158-j

三重県、約30社で温室効果ガス排出量取引シミュレーション
http://www.japanfs.org/db/157-j

産業界でも「エコ(環境に優しい)ことはエコ(経済的に見返りがある)」「環境への取り組みを競争力の源泉に」という企業の取り組みが増えています。たとえば、リコーは、現在までに90年比の二酸化炭素排出量を9.8%削減しており、2010年には13%削減をめざしています。リコーの浜田会長は「省エネによる経費削減効果が数年前から出て、業績に貢献し始めた」と語っています。

このように「経済か環境か」という20世紀型思考ではなく、「経済のためには環境」という新しいスタンスでの自治体や企業の取り組みが次々と始まっており、目が離せません。JFSのインフォーメーションセンターで「温暖化」などのカテゴリーやキーワードで最新情報をどうぞ。

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