エネルギー・地球温暖化

2006年10月11日

 

北太平洋のプランクトン、海のCO2吸収に一役

Keywords:  地球温暖化  大学・研究機関  政府  生態系・生物多様性 

 

北太平洋にすむネオカラヌスという動物プランクトンが、海によるCO2吸収の一端を担っていることが、水産総合研究センター東北区水産研究所と東京大のチームによる研究で判明した。ネオカラヌスにより吸収されるCO2は、年間5.9億トンと計算され、日本の年間CO2排出量12.6億トン(2003年度)の約半分にも上る。

ネオカラヌスによって大量のCO2が海に吸収されるシステムは、その特殊な生活史に関係がある。ネオカラヌスは、春に海洋表層で光合成によりCO2を吸収した植物プランクトンを捕食した後に、深層に移動、深層で越冬・産卵して、深層で死ぬ。ネオカラヌスの糞粒や死骸、ネオカラヌスを捕食した魚の糞などが、海底に沈んだり、有機物が分解して深層水に溶け込むなどして、炭素が海洋深層に運ばれる。

動物プランクトンが炭素を輸送する機能を持つことは古くから知られていたが、量的には無視できるほどだろうと考えられてきた。本研究では、ネオカラヌスの特殊な生活史に注目し、大量の炭素を輸送しているという新たな発見につながった。

北水研の齊藤宏明・生物環境研究室長によると、動物プランクトンは温暖化によって生物量が変化するので、動物プランクトン量が変化すればCO2輸送量も変化すると考えられる。今回の研究は、温暖化の予測に必要な炭素循環の理解に貢献することが期待されている。



http://tnfri.fra.affrc.go.jp/


http://tnfri.fra.affrc.go.jp/personal/HP/Symposium/DEEP%20symp%20JO2006.pdf


登録日時: 2006/10/11 02:45:35 PM

英語記事はこちら


 


 

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