2004年01月07日
Keywords: 3R・廃棄物 企業(非製造業) 原子力 政府
電力会社10社で組織する電気事業連合会は、国内の原子力発電所で排出される使用済み核燃料の輸送・中間貯蔵・再処理、燃料への加工、ウラン濃縮工場のバックエンド費用、廃止に関わる費用など、核燃料サイクルにかかる総費用が、2006年の再処理工場の操業開始から廃止までの72年間で約18兆8000億円になるとの試算を発表した。
この試算は、2003年12月25日に開かれた経済産業相の諮問機関である総合資源エネルギー調査会の会合で発表されたもの。約19兆円の最終処理費用が原発の発電コストに与える影響額は、「1キロワット時当たり0.99-1.53円」。電気事業連合会はこれまで核燃料サイクルの総費用を企業秘密としてきたが、電力自由化がもたらすコスト競争に対して電力会社が危機感を募らせており、今回の発表の背景にもなっていると考えられる。
現在、日本には53基の原子力発電所がある。日本の電力市場は長らく、地域ごとに作られた電力会社合計10社が独占してきたが、現在、大規模工場、デパートなどに限って自由化がはじまっている。04年度には中規模工場やオフィスビル、05年度には小規模工場、スーパーなどに自由化が拡大し、電力供給対象の6割に広がる見込み。
総合資源エネルギー調査会では、今回の電事連の試算を基に、原発の発電コストや収益性をまとめ、電力会社と政府の「官民の役割分担」を議論することになる。
登録日時: 2004/01/07 10:26:13 PM
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