交通・モビリティ

2003年02月12日

 

掛川市、「スローライフシティ」宣言

Keywords:  交通・モビリティ  地方自治体  食糧 

 

静岡県掛川市(人口8万人)は、2002年11月1日から12月1日までの1ヶ月間を「スローライフ月間」と位置づけ、ゆとりある、豊かな生活を目指したまちづくりへの新たな試みを行った。期間中に合計131のイベントを開催。イベントの数はスローライフ(急がない生活)というコンセプトのもと、このように大規模なイベントが開かれるのは日本では初めて。

掛川市は、21世紀の暮らし方、まちづくりに向けての理念を8つの項目にまとめ、「スローライフシティ」宣言を行った。(下記参照)

掛川市は全国に先駆け、生涯学習運動を通じたまちづくりを積極的に推進してきた自治体。今回のスローライフシティの構想はその集大成のひとつとして位置づけている。ただ、スローライフの考え方を市の政策レベルでどのように具現化して行くのか。スローなライフスタイルの確立には欠かせない労働時間の短縮や休日増加などの問題に関し、地元企業の協力が得られるかなど、宣言に謳われている理念を生かしたまちづくりの実現はこれから。

しかし今回のイベント開催を機に、掛川市を含めた7つの地方自治体の首長により「スローライフのまち連合」が結成されるなど、経済的・物質的な豊かさよりむしろ、生活のゆとりや質の高さを求めて行こうとするスローライフ運動は全国に広がりを見せはじめている。今後「スローライフ月間」運動は2003年2月には岐阜県多治見市で、その後も5月に新潟県安塚町、8月には岐阜県岐阜市へ引き継がれていく予定。

(「スローライフ宣言in掛川」より)
20世紀後半の日本は、「早く、安く、便利、効率」を追求し、経済的に繁栄しましたが、人間性喪失や地域の荒廃、環境汚染をもたらしました。
そこで21世紀は、大量生産・大量消費の急ぐ社会から、ものと心を大切に、急がない社会に移行し、「ゆっくり、ゆったり、ゆたかな心で」という「スローライフ」をキーワードにしたいと考えました。人間は、平均寿命80歳とすると、時間にして70万800時間、生きています。このうち勤務労働時間は、40数年働いたとして7万時間、あとの63万時間は、睡眠の23万時間のほかに食事や勉強や余暇で過ごします。いままでは、7万時間の労働を中心に、会社人間的に生活してきましたが、これからは63万時間を、いろいろなスロー主義で暮らし、真の安心と幸せを得ていきたいのです。

このスローライフの実践運動は、次の8つのテーマ・区分によって展開されます。
「スローペース」という歩行文化で、健康増進し、交通事故をなくします。
「スローウエア」という伝統織物、染め物、和服、浴衣など美しい衣服を大事にします。(衣)
「スローフード」で、和食や茶道など食文化と地域の安心な食材を楽しみます。(食)
「スローハウス」という、100年・200年もつ木と竹と紙の家を尊び、物を長持ちさせ、自然環境を守ります。(住)
「スローインダストリー」という農林業で、森林を大切に、手間ひまかけて循環型農業を営み、市民農園やグリーンツーリズムを普及します。
「スローエデュケーション」で、学歴社会をやめ、一生涯、芸術文化や趣味・スポーツに親しみ、子どもに温かく声かけする社会をつくります。
「スローエイジング」で美しく加齢し、一世紀一週間人生の終生自立をめざします。
「スローライフ」で、上記1から7のことを総合した生活哲学により、省資源、省エネを図り、自然や四季と共に暮らします。






登録日時: 2003/02/12 09:38:45 AM

英語記事はこちら


 


 

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