エネルギー・地球温暖化

2018年07月02日

 

いま、福島はどうなっているか ~ アップデイトふくしま

Keywords:  原子力  震災復興 

 

アップデイトふくしま ウェブサイト
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アップデイトふくしま実行委員会は2018年2月10日、環境省、国連大学との共催で、国連大学を会場にパネルディスカッション『アップデイトふくしま ~知って応援、伝えて応援~』を開催しました。理論編・事例編・総括編の3章構成で行われたイベントから、第一章「福島の今を考える~理論編~」の内容をご紹介し、ふくしまの現状についてお伝えします。

『アップデイトふくしま ~知って応援、伝えて応援~』は、福島の現状に関して、国内外の人々に正しい情報が伝わっていないとの認識に基づき、誤解や誤情報をアップデイトするための事実、視点、手法などを明らかにし、共有することを目的に行われました。

第一章「福島の今を考える~理論編~」では、東京大学の早野龍五名誉教授、東京慈恵医科大学・臨床検査医学講座の越智小枝講師、福島大学・経済経営学類国際地域経済専攻のウィリアム・マクマイケル助教、立命館大学・衣笠総合研究機構の開沼博准教授の4名が登壇。作物・食物、環境、健康、福島第一原発をテーマに、現状はどうなっているか、どうすれば正しく伝えられるかについて議論しました。

作物・食物では、米の事例などが報告されました。震災以降ずっと米の全量検査が行われていますが、2014年以降、法定基準値を超える放射線は検出されていません。しかし、それを自分では食べられない、あるいは自分では食べるけれども他人には勧められない、という人が少なからず存在するというのです。数字だけでは納得できない部分に、どうアプローチしていくかが課題です。

環境については、例えば自然環境の中にどれだけ放射線があるのかは、公開されているデータを見れば分かるようになっています。それでも、実際は問題ないレベルの放射線量であっても、子どもたちが放射線の影響を恐れて外で遊ばなくなったために肥満度が高くなる、といった健康への問題が出てきています。生活習慣病のリスクが高まったことによる余命損失は放射線による影響の10倍以上になる、という計算結果もあるそうです。

福島第一原発は、汚染水を止めたり、原発の中の放射線量が高い部分をカバーしたり、という作業から、原発の中にある溶け落ちた燃料を取り出していく作業に移ってきているとのことです。ところが、具体的な状況よりも、とにかく危ないということだけがイメージとして伝わっていることが、課題として挙げられました。

第一章の最後には、福島に関する誤解や誤情報をどうアップデイトすれば良いのか、パネリストから3つの一言メッセージが伝えられました。

広く伝える⇔個人に伝える
これまで、個人に伝えることの大事さを認識し、国が相談員制度をつくるなどきめ細かな対応ができている。一方で、現状を知らない人が多いという現実があり、広く伝えることが大事なフェーズに入ってきている。

『分からない』を楽しもう
いま分かっていないことを分かることができたら、福島にあるいろいろなチャンスが目に入ってくると思う。何が分からないかを広く発信したいし、分からないから楽しいと思ってもらえるような発信ができると良い。

確信×核心
健康被害がどうなっているのか、原子力発電所からまだ汚染水が出ているのか、など核心をついた情報を、確信を持って発信することが重要。

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