2017年06月11日
Keywords: エネルギー政策
イメージ画像:Photo by Ryu Hayano Some Rights Reserved.
茨城県神栖市は2017年3月17日、クリーンな新エネルギーとして期待される水素の活用を推進するために、「神栖市水素エネルギー利活用戦略」を策定したと発表した。同戦略は、国の「水素・燃料電池戦略ロードマップ」と茨城県の「いばらき水素戦略」を踏まえ、2020年までを短期、2020年代を中期、2030年代を長期として、水素エネルギーを利活用して「安全で持続可能なエコ・シティ"水素先進都市かみす"」の将来像実現を目指すもの。
神栖市には次のような特性がある。(1)水素の供給可能性が高い-鹿島臨海工業地帯で発生する副生水素を利用する、風力発電により水素製造ができる。(2)自動車による水素利用の可能性がある-鉄道駅が無いため自動車利用が多い、高速バスの運行が多い、工業地帯でフォークリフトが多数使われている。(3)東日本大震災の経験から防災機能強化のニーズがある-自立型の非常用電熱供給源の確保が必要。
これらの特性を活かして以下のような水素エネルギー利活用方策を示している。
(1)市民や事業者への水素エネルギーの浸透を目指す
まず核となる水素ステーションを導入する。純水素型燃料電池を市有施設、市内事業所へ導入する。燃料電池自動車(FCV)を公用車に率先導入する。燃料電池高速バスを導入する。燃料電池フォークリフトを導入する。家庭用燃料電池(エネファーム)の導入を図る。
(2)安定的な水素エネルギー供給体制の構築
鹿島臨海工業地帯から発生する副生水素及び水素製造余力による水素の安定供給。沿岸部に導入される風力発電施設(現状:43基、発電能力7万5100Kw)の電力による電解水素の安定供給。市内だけでなく市外からの水素も含めた水素の貯蔵及び輸送体制。
(3)水素に関する新たなビジネス創出及び研究開発等の支援
水素関連事業・研究フィールドを積極的に誘致するため各種支援制度の検討・導入拡大。
(4)市民や市内事業者などへの普及啓発
水素に関する市民や事業者の理解や関心を高めるため、情報提供、広報やイベントを積極的に行う。
神栖市は、関連事業者(鹿島臨海、地元、エネルギー、交通、各種メーカー)、学識経験者、行政(国、茨城県、市)、市民団体などで構成する「仮称)神栖市水素エネルギー利活用推進協議会」と連携して同戦略を推進する。また長期に亘るため各段階の終了時点で必要に応じて同戦略の見直しを行うとしている。