交通・モビリティ

2015年08月07日

 

京都市 四条通を「歩く」中心の環境へ

Keywords:  交通・モビリティ  地方自治体 

 

写真:京都市で行なわれた祇園祭山鉾巡行の様子
イメージ画像: Photo by Corpse Reviver Some Rights Reserved.

2014年11月から、京都市四条通で整備工事が行われています。「歩くまち・京都」を政策理念として掲げる京都市は、従来の車を重視したまちと暮らしを、人が主役の「歩く」ことを中心としたまちと暮らしに転換し、世界最高水準の脱「クルマ中心」社会のモデル都市の形成を目指しています。今回の四条通の整備も、この構想の実現に向けた取り組みの一つです。

取り組みの背景には、市民生活のマイカー依存の高まりと、その結果生じてきたさまざまな課題があります。具体的には、自動車を利用する観光客の増加、交通問題の発生、まちの活力や魅力の低下、地球温暖化の観点での悪影響、景観問題の発生などがあります。そこで京都市では、歴史あるまちと文化を守り、磨きをかけて次世代に引き継いでいこうと、車に頼り過ぎない、人と公共交通優先の「歩いて楽しいまち」づくりが始められました。

今回対象となった四条通には、2つの特徴がありました。一つは、歩道と車道の広さが利用者数に対してアンバランスであることです。従来の合計歩道幅員7メートルの歩道を利用する歩行者数は7,000人/時間であったのに対して、4車線15メートルの車道の自動車利用者数は2,200人/時間でした。もう一つの特徴は、通り自体が一つの交通ターミナル機能を持つということです。市バス、京都バス、京阪バスの路線が集中するとともに、地下鉄、京阪電鉄、阪急電車の連絡口が多く配置されており、多くの利用者が往来します。

これら2つの特徴を踏まえ、京都市は主に4つの整備を計画しました。まず、歩道幅の拡張と車道の縮小です。現在片側3.5メートルの歩道を、最大で約2倍の合計歩道幅員13メートルまで広げ、一方車道は2車線に縮小します。歩行者中心の視点に立った整備をすることにより、歩きやすく快適な歩行空間を目指します。

2つ目に、車道に張り出すテラス型バス停を導入するとともに、バス停を集約します。従来16か所あったバス停は観光客にはわかりづらかったことから、東行き西行き合わせて4か所に集約します。また、バスの利用者が歩行者と交錯せずにゆったりとバスを待つことができるよう、歩道から張り出す形でバス停を整備します。車いすの利用者にも優しい設計です。

3つ目に、沿道アクセススペースを設置します。四条通に用のある利用者向けに、車を一時的に停車できるスペースを15か所(32台分)設けます。利用可能な対象車両は、短時間で人の乗り降りを行うために停車する車両や、5分以内の荷物の積卸しを行うために停車する車両に限定されます。

4つ目は、タクシー乗り場の設置です。需要の多い大丸前(東行き)と高島屋前(西行き)に2か所設置し、乗り降りは沿道アクセススペースでも可能とします。

これらの整備工事は2014年11月17日から始まり、2015年10月末まで行われることが予定されています。人口100万人規模の都市のメインストリートで、車線を減らして人と公共交通を優先した整備を行うという取り組みは全国初です。市民にも観光客にも快適な四条通となり、京都市がさらに活気溢れるまちとなることが期待されます。

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