2014年07月06日
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農業生物資源研究所、沖縄県農業研究センター、信越化学工業は2014年2月20日、サトウキビの害虫防除に「交信かく乱法」(性フェロモンを利用して害虫の交尾行動を阻害し、繁殖を抑える)を導入し成功したと発表した。
サトウキビは沖縄県の耕地面積の47%を占める基幹作物であるが、同県宮古島ではサトウキビが収穫直前に立ち枯れして全く収穫できない被害が多発していた。その原因はコガネムシ類の幼虫による根や地下茎の食害で、特に「ケブカアカチャコガネ」の加害が主であった。
研究では、「ケブカアカチャコガネ」のメスが生産し、オスを誘引する性フェロモンが「2-ブタノール」であることを発見した。これを人工合成し、ポリエチレンチューブの中に封入してサトウキビ畑に張り巡らす実験を行った。
結果は、従来ほぼ100%のメスが交尾していたのに対し、実験畑では1%のメスしか交尾できないことが確認された。翌年、実験畑の幼虫数は無処理の畑の20分の1以下で、無処理畑は食害され壊滅的であったが、実験畑は健全であり効果が確認された。同研究がコガネムシ類防除技術の発展に寄与することが期待される。