ニュースレター

2003年06月01日

 

日本のエネルギーの現状 需要

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JFS ニュースレター No.9 (2003年5月号)

(1)最終エネルギー消費量

日本のエネルギー需要は、1973年には、2億8500万kL(原油換算)だったのが、90年には3億4900万kL、2000年には4億500万kLとなっています。国民が便利で豊かなライフスタイルを求める等がこの増加の原因と考えられています。

「最終エネルギー消費の推移」のグラフを見ると、2度の石油危機直後をのぞいて、景気に関わらず、一貫して増加していることがわかります。
http://www.enecho.meti.go.jp/topics/hakusho/2007energyhtml/html/2-1-1-1.html

(2)GDPあたりのエネルギー消費量

なお、国内総生産(GDP)あたりのエネルギー消費量は、1973年を100とすると、2度の石油危機などをきっかけに、80年代に65ぐらいまで下がり、その後、微増し、2000年は67です。

国内総生産(GDP)あたりのエネルギー消費量を、一次エネルギー総供給量(石油換算億トン)/為替換算による国内総生産(1兆米ドル、1995年価格)で比較すると、カナダは3.65、アメリカ2.64、スウェーデン1.91、イギリス1.83、フランス1.50、ドイツ1.30、日本0.96と、日本の省エネは世界の中では高い水準にあることがわかります。

(3)部門別最終エネルギー消費量と推移

最終エネルギー消費を部門別割合で見てみると、民生・運輸部門の割合が増大しています。

1973年 1990年 2000年
産業部門 66% 53% 49%
民生部門 18% 24% 27%
運輸部門 16% 23% 24%

1973年を100としたときの部門別最終エネルギー消費は、2000年の時点で

産業部門 106
民生部門 207
(民生・業務部門 189)
(民生:家庭部門 226)
運輸部門 209
(運輸・貨物部門 148)
(運輸・旅客部門 270)

中でも、家庭部門と旅客部門の伸びが著しいことがわかります。

(4)民生・家庭部門のエネルギー種別の消費量の割合と用途

伸びの著しい民生・家庭部門をエネルギー種別の消費量の割合で見ると、

1973年 1990年 1996年
電気 22.5% 32.0% 33.9%
都市ガス 22.9% 25.0% 25.0%
LPG 14.3% 15.0% 14.1%
灯油 32.8% 27.0% 26.4%
石炭 5.0% 0.1% 0.0%

と電気の伸びが著しいことがわかります。家庭のどこで電気を使っているのでしょうか? 99年の構成比を見ると、

冷蔵庫 16.8%
照明 15.5%
エアコン 13.2%
ルームクーラー 10.4%
テレビ 9.4%
電気カーペット 3.9%
温水洗浄便座 3.1%
衣類乾燥機 2.6%
食器洗浄乾燥機 1.0%

また、日本の家庭での家電製品の普及率のマイルストーンを見てみると、

1972年 冷蔵庫普及率100%超
 80年 ルームクーラー普及率50%超
 84年 カラーテレビ2台目普及率50%超
 87年 電子レンジ普及率50%超
 92年 ルームクーラー普及率100%超

このように家電製品の普及が進むとともに、大型化・高性能化に伴い、家庭での電力消費がどんどん増えています。

(5)運輸・旅客部門の輸送機関別エネルギー消費量の推移

同じく伸びの著しい運輸・旅客部門を、輸送機関別エネルギー消費量の推移
(1973年から96年のあいだ)で見ると、営業用乗用車、バス、鉄道などはほとんど変わっていないのですが、自家用乗用車は303%も増加しており、旅客部門のエネルギー消費量増加の大部分が、自家用乗用車であることがわかります。

また、旅客部門の約6%しか占めていませんが、航空の消費エネルギーは1973年から96年のあいだに3倍に増えています。

1996年度の数字で、旅客部門において、エネルギー消費分担率と輸送量分担率を比べると、

エネルギー消費量 輸送量
乗用車 87.1% 59.4%
バス 2.6% 6.7%
鉄道 3.5% 28.6%

乗用車は、全体の9割近くのエネルギーを使って6割弱の輸送しかおこなっていないのに対し、鉄道は3.5%のエネルギーで3割近くの輸送を担っていることがわかります。

政府は、京都議定書で約束した1990年レベルに比べて6%の温室効果ガス削減に向けて、温室効果ガスの種類ごとに対策を立てています。平成14年3月に改定された「地球温暖化対策推進大綱」では、エネルギー起源の二酸化炭素を「1990年レベルに抑制することを目標」とし、「省エネ」「新エネ」「燃料転換」「原子力の推進」を取り組みの柱と位置づけています。

エネルギー需要面での二酸化炭素排出削減対策としては、「最大限の省エネルギーを図ること」としていますが、特に、エネルギー消費が大きく増加している民生部門では、各種機器の効率改善の強化、エネルギー管理の徹底、住宅・建築物の省エネルギー性能の向上等の対策を強化する等の対策を、また、運輸部門については、自動車交通対策、モーダルシフト、物流の効率化、公共交通機関の利用促進等の対策の充実・実施を掲げています。

「地球温暖化対策推進大綱」では、これらの需要面での対策により、2010年までに、原油換算で約5700万klの削減を見込んでいます。

省エネルギーに関する国の方針や政策は、資源エネルギー庁のHPなどに掲載されています。http://www.enecho.meti.go.jp/policy/index.htm

また、1978年に設立された財団法人省エネルギーセンターでは、「工場の省エネ」「ビルの省エネ」「生活の省エネ」「交通の省エネ」「省エネラベル」その他さまざまな情報や取り組み事例、指導を提供しているほか、メールによる省エネ相談も受け付けるなどして、省エネ活動を促進しています。
http://www.eccj.or.jp/index.html
http://www.eccj.or.jp/index_e.html

また、運輸部門の実際の取り組みについては、JFSの記事にも多数あります。
たとえば、

エコドライブ推進運動で、二酸化炭素を削減
http://www.japanfs.org/db/5-j

省エネ運転で年間1万8000円も「お得」に!
http://www.japanfs.org/db/44-j

国土交通省、次世代エコ船開発など推進  
http://www.japanfs.org/db/102-j

シャープ、モーダルシフトを加速  
http://www.japanfs.org/db/66-j

沖電気 物流のCO2抑制へ
http://www.japanfs.org/db/77-j

電機・情報各社、CO2削減へ物流再編 
http://www.japanfs.org/db/29-j

名古屋市、職員のマイカー通勤を禁止
http://www.japanfs.org/db/130-j

国土交通省、環境調和型ロジスティクスマネジメントシステムのマニュアルを作成
http://www.japanfs.org/db/159-j

同一車両で、食材配送と野菜屑回収
http://www.japanfs.org/db/232-j

政府は、「先進的省エネルギー機器開発、省エネルギー設備等への投資を通じ新たな経済成長がもたらされることにより、環境と経済の両立をめざすことが可能」と期待しています。

そのような政府の後押しや、民間のコスト削減などをめざしたエネルギー需要面での自主的な取り組みが今後も広がり、進んでいくことでしょう。ほぼ毎日新しい記事をアップしているJFSインフォメーションセンターで、さまざまな取り組みや動きの最新情報をどうぞ!

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