3R・廃棄物

2006年05月24日

 

野菜茶業研、発酵を用いた有機養液栽培に成功

Keywords:  3R・廃棄物  大学・研究機関  環境技術 

 

農業・食品産業技術研究機構・野菜茶業研究所(三重県津市)は2006年1月18日、これまで化学肥料しか使えなかった養液栽培に対し、有機肥料だけを用いた技術の開発に成功したと発表した。カツオの煮汁や油かすなど、無処理の有機物を培養液内で分解し栽培できる技術は世界でもこれまで報告例がない。

養液栽培は、土を使わず、必要な栄養分を含んだ養液だけで野菜を栽培する方法。同技術は、微生物によりデンプンからエタノールを作る日本酒の「酒母」づくりの技術をイメージして開発され、有機物に含まれる有機性の窒素が硝酸にまで分解(無機化)できる微生物生態系をつくることで、肥料の全量を有機肥料にすることができるもの。

開発された技術は養液栽培槽に水を満たし、少量の土壌(1リットルあたり5g程度)を微生物の植菌の目的で添加(最初の一回だけでよい)。エアーポンプなどで酸素を供給しながら、1リットルあたり1g程度の少量の有機物を毎日添加することで、約2週間で微生物が育ち、作物を定植できる。その後は作物の生育に合わせた量の有機肥料を直接添加する。

カツオの煮汁やコーンスティープリカー(トウモロコシからデンプンを製造する工程で出る副産物)を用いたトマトやサラダ菜のポットレベルの栽培試験では、化学肥料と同等の生育が見られた。同技術は食品産業から出される有機廃棄物(ビール酵母やオカラ<豆腐の副産物>など)の分解と作物の栽培を行うことができるため、循環型社会に貢献できる技術として期待されている。今後は液性の有機肥料だけではなく、コーン油かす、魚粉などの固体の有機肥料での栽培実績を積んでいきたいとしている。



http://vegetea.naro.affrc.go.jp/joho/20060118youeki/youekisaibai.html


http://vegetea.naro.affrc.go.jp/


登録日時: 2006/05/24 03:00:00 PM

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