ニュースレター

2018年07月31日

 

JFSを代表してお礼のひと言

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JFS ニュースレター No.191 (2018年7月号)

写真16年前の2002年、みなさんはどこで何をされていたでしょうか?

2002年、どんどんと悪化する地球環境問題を何とかしたい、日本の取り組みや考え方、技術を発信することで世界に役立ちたい、日本の取り組みをさらにプッシュしたいという大きな志から、JFSが誕生しました。せっかくよい取り組みや技術があるのに、言葉の壁のせいで、世界に伝わっていないのはもったいないと思ったのです。「がんばっている日本を世界はまだ知らない!」が私たちのキャッチフレーズでした。

以来、80社もの企業・団体に法人会員として資金的な支援をいただき、延べ約900人のボランティアの方々の力を借りて、この16年間に5,054本の記事(うち、ニュースレター記事560本)を、191カ国の11,000人を超える読者の方々に発信してきました。

これがJFSからの最後のニュースレターとなります。JFSの16年間の活動をさまざまな形で支えてくださったみなさまに心からの感謝をお伝えしたいと思います。

7月末での活動休止のお知らせに、世界のあちこちからも「残念です」「これまでありがとう!」という声が届いています。私たちの発信する情報をしっかりと受けとめ、役立ててくれた方々が確実にいることの重みと感謝の気持ちを改めてかみしめています。

16年間を振り返ると、あっという間だったなあと思います。

この間、温暖化をはじめとする地球環境問題は悪化の一途をたどっており、海洋プラスチック汚染などの新たな問題(問題自体はJFS設立当初からすでに存在していましたので、「新たな注目」と言うべきですね)が出てきています。他方、再生可能エネルギーは頼もしく急増しており、石炭火力発電やガソリン車からの脱却も世界の大きな動向となってきました。

かつては、環境問題は、「環境分野の研究者や行政担当者、環境NGOが社会の少数派としてがんばっている」分野でしたが、今では、あらゆる業種の企業、投資家、学校、若者たちが取り組むものになってきました。

同時に、狭義の「環境」問題から、社会面や経済面も含めた持続可能性(サステナビリティ)、CSR(企業の社会的責任)、SDGs(国連持続可能な開発目標)へと、取り組み範囲も広がってきました。環境問題は「環境」だけに取り組んでいても解決できないことが明らかになってきたからです。

「がんばっている日本を世界に知ってもらうことで、世界をプッシュしよう!」という私たちの志にも関わらず(もしくは、そのおかげで?)、今では途上国を含め、世界の国々の持続可能性への取り組みはどんどん進んでおり、日本が置いていかれている残念な分野も少なくありません。私たちは「がんばっている世界を日本はまだ知らない!」というスローガンで、日本の取り組みをプッシュすることにも力を入れなくてはならないと思っています。

同時に、まだまだ「世界の中での課題先進国」「東洋と西洋の間に位置する国」としての日本の果たせる・果たすべき役割があると信じています。

  • 急速な人口減少・高齢化の中で、どのように「持続可能で幸せな社会」をつくっていくのか?
  • 現状、不均衡な都市と地方の位置づけや役割分担・連携をどのように考え、進めていくのか?
  • 地球の扶養力を大きく超えているにも関わらず、いまだに成長を求めつづけている経済のあり方をどのように考えていけばよいのか?
  • 本当の幸せとは何か、そのためには何があればよいのか?
  • 多くの人が近代西洋文明の行き詰まりを指摘する中、東洋の知恵をどのように世界に伝え、ともに新しい価値観やパラダイムを形成していけばよいのか?

JFSが活動を休止しても、持続可能で幸せな社会をつくるための私たちの活動は休むことなく続けていきます。私、枝廣が所長を務める幸せ経済社会研究所では、このような面での日本の取り組みや東洋思想の知恵などを、少しずつですが、世界に向けて発信していきます。8月より、月次のニュースレター(英語版のみの配信となります)を発行する予定ですので、ご関心のある方は、こちらより登録してください。
https://www.ishes.org/en/newsletter/index.html

最後に、先日、JFSの活動を支えてきてくれたボランティア、個人サポーターの方々との「感謝の会」を開催しました。

40人ほど集まってくれた中に、森林保全などの環境保護を志す大学2年生の学生さんがいました。16年間のJFSの活動を振り返る中で、子ども向けの情報発信ウェブサイトの活動も行っていた、と話したところ、その学生さんが「小学校の頃に、このサイトを見ていました!それもあって環境への関心を深め、今の勉強分野につながったのです」と言ってくれたのです。

また、JFSでのボランティア活動がきっかけとなって、地元でトランジションタウン運動や農業を始めたのです、と言ってくれる方もいて、うれしく思いました。

ウェブでの情報発信は果たして届いているのかも見えず手応えが得にくいのですが、私たちの活動が、こうして関心ある次世代や地域での取り組みを生み出すことにも少しでも寄与できたのだとしたら、これ以上うれしいことはありません。

これからもあちこちでお世話になることと思います。ご一緒させていただける機会があることを楽しみにしております。

これまでのすべてに、本当にありがとうございました。

そして、これからもどうぞよろしくお願いいたします。

枝廣淳子

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