2017年04月25日
日本の気候変動対策支援イニシアティブ
~途上国のニーズに応えて~
環境省は2016年11月11日、『日本の気候変動対策支援イニシアティブ~途上国のニーズに応えて~』を発表した。同イニシアティブは、国際的な気候変動対策の枠組であるパリ協定の実施に当たって、効果的な途上国支援を展開していくため、日本が実施している気候変動に関する支援策を5分野、27項目に取りまとめ、分かりやすく示したものである。
二国間クレジット制度(JCM)等を活用し、途上国のニーズに応じた技術支援を実施する。現に16ヵ国とJCMを実施しており、101件の事業を実施している。実例としては、セメント廃熱回収発電(インドネシア)、高効率アモルファス変圧器(ベトナム)等。
さらに、JCMで構築してきたスキームやクレジット発行の知見・経験を、パリ協定の市場メカニズム運用に関わるルール作りにも活かす。また、ODA等を通じた省エネ技術の普及および再エネ電源の適正な開発・利用促進、途上国の持続可能な森林経営推進のための支援に取り組む。
これまで日本は、世界適応ネットワーク、アジア太平洋適応ネットワーク、全球地球観測システムアジア太平洋シンポジウムに参加し、適応に関する知見や成功事例等を共有し、理解の促進、政策的な進展への支援に貢献してきた。その知見や技術を活用し、適応計画の策定の基盤となる気候変動の影響評価に関する支援を継続・発展させ、途上国における適応計画の策定・改善に貢献する。
これまで日本は、排出削減の科学的基盤となるインベントリ構築に関し、各国の理解・作成能力向上に貢献してきたが、パリ協定の透明性枠組を確実に機能させるため、人材育成を通じて、途上国の測定・報告・検証(MRV)に係る能力向上の取組を充実させる。
途上国のフロン類排出削減のための排出インベントリの作成支援と、MRVの能力向上を図る。また、フロン類の回収・破壊・再生処理等について、日本の経験に基づき、ライフサイクル全体で排出量を低減するための支援を拡充させ、取組の重要性に関する理解の促進を図る。将来的には、総合的なフロン排出抑制対策に向けた制度構築を促進し、国際的排出抑制につなげる。
持続可能な開発目標(SDGs)の理念を意識した統合的なアプローチのため、ASEAN諸国と連携して取り組んでいる持続可能な都市づくりに関するモデル都市プログラムをSDGsの達成に向けたプログラムとして発展させるとともに、途上国都市における取組をSDGsの側面から評価し持続可能な社会づくりを支援する。