ニュースレター

2007年03月01日

 

JFS指標プロジェクト(1) 活動開始 - 第2期の始まり

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JFS ニュースレター No.54 (2007年2月号)

JFS指標プロジェクトとは?

JFS指標プロジェクトは、ジャパン・フォー・サステナビリティのミッションの1つである「持続可能な社会に向けて日本を変えていく」ための基幹プロジェクトの1つです。第1期の目的、目指すところは次のとおりでした。

・持続可能な日本の姿を描き、現在の日本がどの程度その姿に近づいているのか、離れているのかを可視化し、あらゆるステークホルダーの意識を啓発する。
・持続可能性ってなんだろう? 日本のあるべき姿は何だろう? と問題提起をし、より多くの人々に考えてもらうきっかけを提供する。

こうした目的の下、ボランティアで集まった10名弱のメンバーを中心に、2003年の立ち上げから2年弱の情報収集、研究・議論を経て、2005年6月に第1期のプロジェクト成果を発表しました。その後、第2期も終わりに近づきつつあるこの節目に、これまでの活動について、数回に分けて報告していきたいと思います。私たちの試行錯誤の過程と、「日本を持続可能な社会にしたい!」という熱い思いを感じ取っていただければ幸いです。

第1回目の今回は、第1期のふり返りと第2期のプロジェクトの方向性について紹介します。

怒濤の第1期をふり返って

一昨年6月に発表した第1期の成果は、大きく分けて次のとおりです。

(1)持続可能性の定義・概念・フレームワーク
(2)2050年の持続可能な日本のあるべき姿・ビジョン
(3)20のヘッドライン指標の選定
(4)2005年時点での日本の持続可能性の測定
(5)約200の指標データ
※詳しくはHP:http://www.japanfs.org/ja/jfsindex/pages/011074.html

JFS指標の骨格、基礎をつくり上げたのがこの時期です。持続可能性の定義には、一般的に広く定着している「容量・資源」「時間的公平性」「空間的公平性」に加え、地球市民の視点をより考慮した「多様性」「意志とつながり」を入れました。環境、経済、社会、個人の4軸で20のヘッドライン指標を苦労して選定したところ、「日本の持続可能性は対90年比で約19%後退している」という試算結果が出ました。これは算出した私たち自身にとっても驚くべき結果でした。かなりインパクトのある結果だったと思います。

この試算結果は、発表後、いくつかの新聞にも取り上げられ、多くの方々からコメントをいただきました。また、プレスリリースの内容を英訳して海外にも配信したところ、皮肉なことに海外から、より多くの反響が寄せられました。私たちは国内に向けて「日本の持続可能性はこんなに危ない!」というメッセージを出したつもりでしたが、実は海外で持続可能性指標を研究して取り組んでいる人たちのほうの興味を引く結果となりました。

また、多数のコメントの中には、これだけのプロジェクトを手弁当で実施していることへの純粋な驚きもありました。私たちチームメンバーも、これだけのことを成し遂げたことによる満足感のためか、プレス発表後、ある種の「停滞期」に陥ってしまいました。というのも、発表前の数カ月は、寝る間も惜しむほど時間に追われ、メンバーの中には本業の仕事や家庭生活の「持続性」を失いかねない状況にまで陥っていたのです。第1期の成果発表は、その産物でした。

無理なく楽しい第2期のスタート

2005年8月、約2カ月の休息をはさみ、第2期が始まりました。第1期の終盤のような密度の濃い活動とは一転して、無理なく楽しく、同時にエキサイティングにスタートしました。まず、この指標プロジェクトが何を目指すのか、プロジェクト当初の目的「持続可能な社会に向けて日本を変えていく」を踏まえて、今後の数年間の(中期的)活動計画を、改めて考えていくことになりました。

ここでわかったのは、個々のメンバーのやりたいこと、向いている方向性がさまざまで、非常に多岐にわたっていることです。持続可能性指標をつくることを義務づけた法律をつくろうという話から、自治体・地域単位の指標をつくろうという話、また海外との指標ネットワークをつくろうということまで、さまざまです。

いずれも持続可能な社会を実現するための活動であることは確かですが、かなり方向性の違うアイデアが多数出てきました。結局、具体的な第2期の活動計画案ができたのは翌年の2月で、つまり約半年にわたり目指す方向性について議論をしていました。しかも、さらに長期的なマイルストーンについては、いまだに継続して議論しています。

その間、専門家を招いてのオープンな勉強会を開催しました。具体的には、三戸俊和氏(環境省)、倉阪秀史氏(千葉大学)、森口祐一氏(国立環境研究所)の3名をそれぞれお呼びし開催しました。これらの勉強会では、JFS指標に対するコメントやアドバイスも多数いただき、私たちの活動への大きな示唆となりました。

第2期の方向性(タテとヨコの活動展開)

議論の結果、私たちは第2期のプロジェクトにおいて、2つの方向性での発展を目指すこととしました。1つは持続可能性指標の研究をさらに深める「タテの進化(深化)」です。第1期で発表した指標は、専門家の視点ではまだアマチュアの域を脱しきれていない部分もあり、より学術性の高い精緻な指標モデルを研究し、真に日本の持続可能性を測定できる指標とすることが目標です。

具体的には、以下を第2期の活動メニューとしました。

・ビジョンと指標のつながりを検証
・指標間のつながり
・個別の指標の深掘り
・総合指標化における重み付け

もう1つは、持続可能性のビジョン、指標をより多くの人々に広める「ヨコの広がり」の取り組みです。国内外のネットワークづくりや、コミニュケーションツールとしての指標の活用法を広めることなどを目標としました。専門家を交えたオープンな勉強会も活動メニューの1つです。

具体的には、以下を今後の活動メニューとしました。

・月2回のクローズド勉強会
・2ヶ月に1回のオープン勉強会
・メールマガジン発行
・ブログでの情報交換
・リンクのアップデート
・成果の英訳・発信

そして第2期は本格始動しました。

次回は、JFSプロジェクト第2期の具体的な活動結果について紹介します。


(JFS指標チーム 第2期リーダー 山野下仁文)

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