エネルギー・地球温暖化

2002年11月13日

 

ジャンボ機からの温暖化観測、200回を超える

Keywords:  地球温暖化  企業(非製造業)  政府  環境技術 

 

(財)日航財団が、運輸省(現国土交通省)の協力のもとに、日本航空および気象庁気象研究所と共同して、1993年4月からはじめた「大気観測プロジェクト」の観測が200回を超えた。

各国の気象機関の観測基地は、地上あるいは海上 (観測船上) に設置されているため、定期的に上空大気の様子を観測することは困難。大気観測プロジェクトは、定期航空便を利用して行なう温室効果ガスの濃度観測としては世界でも初めての試みで、シドニーから成田(2002年4月からはブリスベン-成田)に向かう日本航空の定期便に、上空の大気を採取するための特製の装置を積み込み、到着後、その装置を気象研究所に運び込んで、採取した大気の中に含まれている温室効果ガスの濃度を分析する。

この観測は 1993年4月に開始され、現在も月に2回のペースで順調に続けられているが、これまでの観測の結果、さまざまな有益な情報が得られている。たとえば、
・ 植物の光合成の影響による CO2 濃度の季節変化が上空にも及んでいること、
・ 上空の CO2は、地上のCO2とほぼ一致した濃度増加を示していること、
・ これら二つから、地上で発生した CO2 が大気の対流に乗って上空まで到達していること、
・ 主に北半球の中緯度帯で発生する CO2 が、高層の大気の流れに乗って南半球に向かって運ばれていくこと、さらに上空まで達したCO2 は、超高層の大気の流れに乗って、いったん、南半球の中高緯度帯まで運ばれたのち、高層の大気の流れに乗って赤道に向かって北上していること、
・ 1997年の強いエルニーニョの結果生じたアジア・オセアニア地域での森林火災に伴って発生した CO が上空に達して、高層の大気組成に影響を及ぼしていること。

この 「大気観測プロジェクト」 によって得られた観測データは、気象庁が運用している「WMO温室効果ガス世界資料センター (WDCGG)」 および日航財団を通じて、国内外の関連機関や研究者に提供され、温室効果ガスの空間的・時間的な変動の実態把握、炭素循環や地球温暖化のメカニズムの解明、気候予測技術の高度化などに活用されている。




登録日時: 2002/11/13 05:14:16 AM

英語記事はこちら


 


 

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