2018年06月11日
Keywords: 地球温暖化
イメージ画像:Photo by photo-graphe.
海洋研究開発機構と東京大学は2017年9月14日、地球温暖化による台風の活動や構造の変化について解析した結果を発表した。地球全域の雲の生成・消滅を詳細に計算できる全球雲システム解像大気モデル「NICAM」をスーパーコンピュータ「京」で実行、台風の周りの風速の分布を比較した結果、同じ強度(中心気圧)の台風では地球温暖化時に強風域の範囲が拡大することがわかった。
水平解像度14キロメートルのNICAMを用いて実施した、のべ60年間分におよぶ現在気候(1979年から2008年)と21世紀末を対象とした将来気候(2075年から2104年)のシミュレーション結果を比較。地球全体で平均した台風の発生数は22.7%減少、強い台風の発生数は6.6%増加、台風に伴う降水量は11.8%増加する。台風の強風域の半径を比較すると、地球温暖化時に10.9%拡大する。
これまで予測に用いられていた全球大気数値モデルでは、水平解像度が数十~数百キロメートルと低いため、雲システムを経験的な仮定に基づいて表現していたことが、予測の不確実性の一因となっていた。今回の研究では、高解像度のNICAMを用いることで不確実性を排し、台風の大きさの変化やメカニズムを調べることができた。今後は、更に解像度を高めることで、不確実性をより低減し、台風活動の変化の理解が深まることが期待される。