エネルギー・地球温暖化

2018年06月03日

 

海洋研究開発機構、気象研究所など、北極海のCO2吸収量を初めて定量化

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海洋研究開発機構と気象庁気象研究所は2018年3月22日、北極海が吸収する二酸化炭素(CO2)を定量化することに成功したと発表した。全海洋面積の3%の北極海が、約10%ものCO2を吸収していることが明らかになった。全球CO2収支の算定や海洋酸性化の実体解明などへの貢献が期待される。

同機構、気象研究所、ベルゲン大学、米国大気海洋庁などの国際共同研究チームは、北緯60度以北の海域について1997年から2014年までの18年、216ヶ月分の大気海洋間CO2交換量の分布図を作成し、北極海全体のCO2吸収量は炭素換算で年間1.8億トン±1.3億トンであることを突き止めた。

一般に、水温が上昇すると、CO2吸収量は減少する。現在のところ、水温上昇による吸収量を減少させる効果と海氷減少による吸収量を増加させる効果が打ち消し合って、北極海全体のCO2吸収量の長期的な変化は小さくなっていることが分かった。

風が強く海氷密接度が低い、大西洋側のグリーンランド海やノルウェー海、バレンツ海と、太平洋側のチュクチ海で大きな吸収が見られる。季節変化では、グリーンランド・ノルウェー海とバレンツ海は、風の強い冬季に大きな吸収が起こる。チュクチ海は、水温が高く海氷も少ない夏から、風が徐々に強くなる秋にかけて大きな吸収がある。北極海は、海氷がまだ少なく、風が強くなり始める10月に最大の吸収量を示す。

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