政策・制度・技術

2010年03月29日

 

葉の気孔の数を増加させる因子発見 CO2削減や食糧増産へ期待

Keywords:  環境技術  大学・研究機関 

 

JFS/stomagen
ストマジェン投与3日後の気孔(左:無処理、右:ストマジェン処理後)
Copyright 京都大学


京都大学の西村いくこ理学研究科教授らの研究グループは2009年12月、植物の気孔の数を増加させるシグナル因子を世界で初めて発見したと発表した。研究グループは、今回発見した因子を、気孔(stoma)を生み出す(generation)因子という意味をこめ、ストマジェン(stomagen)と命名した。

植物は葉の表面にある口のような形をした気孔という器官から大気中のCO2を取り込みデンプンや油を作る。同研究で、植物にストマジェンを過剰に作らせると気孔がたくさん増え、逆にストマジェンを作る能力を弱めると気孔が減ることが分かった。

また、同研究グループは、化学合成したストマジェンを含む溶液に幼植物を3日間つけるだけで気孔の数が劇的に増加することを見出した。写真の左側はストマジェンを投与していない葉の気孔の写真で、右側はストマジェンを投与して3日後の写真である。これは、遺伝子の改変ではなく、外から物質を投与することにより気孔の数だけを特異的に制御することに成功した世界で最初の例となる。

ストマジェンは、雑草から作物や樹木に至る多種多様な植物がもっている普遍的な因子であり、植物のペプチドホルモンとも言える。ストマジェンを植物に与えるだけで気孔の数が増えることから、遺伝子組み換えに頼ることなく、様々な植物のCO2吸収能力を上げることが可能になり、それに加え、CO2吸収が増えるとデンプンや油の物質生産量も上がるので、世界的な人口増加による食糧不足問題解決への貢献も期待できるとのこと。

葉の気孔の数を増加させる因子の発見
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/
news6/2009/091210_1.htm

登録日時:2010/03/29 06:00:15 AM

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